Quote

Trip.comは、大規模オンラインワークロードに最適なデータベースとしてOceanBaseを採用しました。OceanBaseは、マルチデータセンター間でのアクティブ・アクティブ構成にネイティブ対応しており、ピーク時でも柔軟にスケール可能です。また、サービスへの影響を最小限に抑える高速フェイルオーバー機能により、従来の構成で抱えていた課題を根本から解決しました。その結果、読み取り性能は2倍、書き込み性能は3倍に向上し、ストレージコストは約66%削減されました。

Yao Chen

Trip.com シニアデータベースエンジニア

Trip.comは、航空券・ホテル・鉄道などを一括で予約できるワンストップ型の旅行サービスです。39の国・地域で24言語に対応し、170万を超える宿泊施設、600社以上の航空会社のネットワークを提供しています。

24時間稼働のサービスが拡大する中で、従来のMySQL基盤は限界に近づいていました。スキーマ変更に時間がかかる、レプリケーションによるリスクが安定性を脅かす、肥大化したテーブルがストレージと計算リソースを圧迫する、といった課題に直面していました。Trip.comはこれらのボトルネックを解消するためにOceanBaseへ移行し、分散データベース基盤によって性能向上、ストレージコスト削減、システムのレジリエンス強化を実現しました。

課題

ビジネスモジュールは汎用PCサーバー上のMySQLに統合されていましたが、初期の事業成長を支えてきたアーキテクチャは、グローバル規模での運用負荷には耐えられず、その限界が見え始めていました。

  • ハイリスクなスキーマ変更:本番環境の巨大テーブルに対してカラムやインデックスを追加する作業は、数週間を要する大規模なオペレーションでした。実行中はストレージ容量が一時的に120%以上に達することもあり、24時間稼働が求められる大規模サービスでは、スキーマ変更そのものが重大な安定性リスクとなっていました。
  • マルチノード間でのデータ一貫性:Binlogベースのレプリケーションでは、RAID 10構成を採用しても、プライマリとスタンバイ間でデータ不整合が発生する可能性を完全には排除できませんでした。障害によるフェイルオーバーのたびに、レプリカの整合性を手動で確認する必要があり、運用上の大きな負荷とリスクを抱えていました。
  • テーブル単位のストレージ上限:IMシステムのグループメッセージ用テーブルが単体で格納容量の上限に近づいており、MySQL標準の機能では根本的な解決が困難な状態でした。さらに、全業務モジュールに対して画一的にリソースを割り当てていたため、余剰と逼迫が混在するリソース配分の歪みが発生。プロダクトが増えるにつれて、この課題は一層深刻化していました。

解決策

場当たり的な回避策による運用コストの増大を回避し、圧倒的なスケーラビリティを実現する統一基盤が求められていました。そこで、OceanBaseはネイティブ分散アーキテクチャを採用し、マルチテナンシーと高度な圧縮技術を組み合わせることで、高可用性と効率性を両立させることを目指しました。

 
  • シームレスなオンラインDDL。スキーマ変更にかかる工数は「数週間の作業」から「数秒〜数分の作業」へと大幅に短縮されました。例えば、巨大なIMグループメッセージテーブルへのカラム追加も即座に完了し、本番トラフィックへの影響もほぼゼロに抑えました。 
  • 一貫性の確保と自動フェイルオーバー。従来の複雑なレプリケーション運用から脱却し、リーダー/フォロワー管理をシンプルにしました。分散コンセンサスアルゴリズムにより、厳密なデータ一貫性を保ちながらフェイルオーバーを自動化しました。ノード障害時の手動対応や現場での混乱を大幅に軽減できます。 
  • 大幅なストレージ圧縮率の向上。高度な圧縮アルゴリズムの導入により、MySQL環境で800GBあったテーブルを200GBまで圧縮するなど、ストレージ使用量を大幅に削減しました。
  • きめ細かなリソース制御。ネイティブ・マルチテナンシーにより、共有クラスタ内でリソースをプールしつつ、各業務モジュールをテナント単位で分離しました。ワークロードごとの需要に応じて柔軟にスケールでき、ハードウェアの利用効率を最大化しています。 
  • ワークロードの統合。OLTP(トランザクション処理)とOLAP(分析処理)を同一データベース環境に統合しました。複製による遅延を解消し、より高度なリアルタイムデータ処理を可能にしました。

Trip.comは、OceanBase Migration Service(OMS)を活用し、MySQLからOceanBaseへのスムーズな移行を実現しました。OMSが備えるフルデータ同期および増分データ同期機能により、移行期間中もデータの一貫性を維持しながら、ゼロダウンタイムでの切り替えが可能となりました。

その結果、データ損失やサービス停止を発生させることなく、ビジネスの継続性を確保したまま、安全かつ確実に移行を完了しています。

ビジネスインパクト

OceanBaseへの移行により、性能・効率・運用安定性において、定量的な改善が確認されています。

大規模オンラインサービスにおける高パフォーマンス

OceanBase導入後、本番ワークロードにおいて、書き込みスループットが約3倍、読み取り性能が約2倍に向上しました。これにより、日々数百万人が利用するホテル予約やメッセージング機能において、ユーザー体験に直結するレスポンス速度の大幅な改善を実現しています。

ストレージ削減による高い容量効率(約66%削減)

OceanBaseの高度なエンコーディングおよび圧縮技術により、ストレージ使用量はMySQL環境と比較して約3分の2削減されました。特に大規模テーブルにおいて効果が顕著で、例えばIM(インスタントメッセージ)のグループメッセージテーブルでは、800GBから200GBへの大幅な削減を達成しています。この結果、インフラコストの低減に加え、圧縮データに対するクエリ性能の向上も実現しています。

ゼロダウンタイムを支える運用体制

オンラインでのスキーマ変更やノードの増減、データセンターの保守作業をサービス停止を伴わずに実施可能な運用体制を構築しました。さらに、リーダー/フォロワーの切り替えも自動化されており、ピーク時の動的なスケールアウトにおいても、リソース競合を最小限に抑えることができます。

運用の簡素化とインフラ効率の最大化

マルチテナンシーとOceanBaseのHTAP(Hybrid Transactional/Analytical Processing)機能により、ETL処理を介さずにトランザクション処理とリアルタイム分析の統合を実現しました。

また、モジュール単位での柔軟なスケーリングと、サービス停止を伴わない移行手法の確立により、将来にわたって再現性の高いデータ基盤を構築しています。

今後の展望

グローバル規模で展開する旅行プラットフォームにおいて、インフラの拡張性はビジネス成長を支える重要な要素です。今回の取り組みは、MySQLの制約に起因する運用課題の解消にとどまらず、将来の成長を見据えた、レジリエントで高効率な次世代データ基盤の確立につながるものとなりました。

今すぐOceanBaseで
開発を始めましょう