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LangChainからCursorまで、AI開発のデータ基盤をOceanBaseに集約する

OceanBase
OceanBase
公開日 9月 1, 2026更新日 9月 7, 2026
5 minute read
主なポイント


RAGやAIエージェントを組み込んだアプリケーションを作ると、使うツールは自然と増えていきます。LangChainやLlamaIndexで処理フローを組み立て、OpenAIやローカルモデルで推論を行い、Difyのようなワークフロープラットフォームで業務ロジックをつなぎ、Cursor、Cline、Claude CodeなどのIDEで実装を進める。最近のAI開発では、こうした構成は珍しくありません。

一方で、ツールが増えるほどデータ層は複雑になりがちです。業務データはRDB、ベクトル検索は専用Vector DB、キーワード検索は検索エンジン、エージェントの状態は別のストレージ、というように役割ごとに分かれていくと、接続先や同期処理、運用対象が増えていきます。

OceanBaseは、このデータ層をできるだけ1つに寄せるための選択肢です。通常の業務データに加えて、ベクトル検索、全文検索、トランザクション処理を同じデータベースで扱えます。ベクトル検索と全文検索を組み合わせたハイブリッド検索や、スカラーデータとベクトルデータをまたいだ検索にも対応しています。

すでに60を超えるAIエコシステムのツールと連携しており、そのうち18件以上については、実運用を見据えた検証が完了しています。さらに、OceanBaseが提供するPowerRAGを使うと、RAG、検索、レコメンド、AIエージェントといった用途の開発にもつなげられます。

つまり、LangChainのVectorStoreやDifyのRAGバックエンド、CursorからのMCPアクセスを、別々のデータ基盤に向ける必要はありません。これらを同じOceanBaseインスタンスに集約できます。本記事では、OceanBaseがAI開発ツールチェーンの中でどのように使えるのかを、レイヤーごとに整理します。


OceanBaseがつながるAI開発ツール

まず全体像を見ておきます。OceanBaseはAIアプリケーションのデータ基盤として、フレームワーク、モデル、開発環境、MCP、ローコード基盤など複数のレイヤーと連携します。

エコシステム層
代表ツール
AgentフレームワークLangChain、LlamaIndex、Dify、DB-GPT、FastGPT、CrewAI、Camel-AI、LangGraph、RAGFlow、AutoGen
コードアシスタントCursor、Continue、Cline、Trae、Windsurf、Cody
推論エンジンOllama、vLLM、Transformers、OpenVINO、LLAMA.cpp
モデルサービスOpenAI、DeepSeek、通義千問、智譜、Anthropic、Google、HuggingFace
プロトコル層MCP、A2A
メモリ層mem0、Letta
可観測性LangSmith、Arize
ツール/プラットフォームOpen WebUI、Chatbox、Supabase、Vercel

ここで重要なのは、対応ツールの数そのものよりも、AI開発でよく使う入口から同じデータ基盤にアクセスできることです。アプリケーション側のフレームワーク、モデル側のEmbedding生成、開発環境からのMCPアクセスを、それぞれOceanBaseに向けられます。


フレームワークからは既存のインターフェースで使う

LangChainやLlamaIndexを使っている場合でも、開発者はOceanBase独自の使い方を一から覚える必要はありません。各フレームワークが持つVectorStoreやRetrieverなどの抽象化を通じて、OceanBaseを検索・保存先として利用できます。

フレームワーク
接続方法
主な用途
LangChain公式の langchain-oceanbase パッケージにより、VectorStoreとして利用可能RAGベースのQA、ドキュメント検索
LlamaIndexVectorStore統合に対応コンテキストを踏まえた生成、埋め込み検索
LangGraphOceanBaseのMySQLモードを状態永続化のバックエンドとして利用可能ステートフルなAIエージェントワークフロー
CrewAIマルチエージェント協調フレームワークとの連携に対応役割分担型AIエージェントワークフロー
CamelAIマルチエージェント協調フレームワークとの連携に対応マルチエージェント型AIワークフロー
Spring AI AlibabaJava向けAIフレームワークから利用可能エンタープライズ向けSpringアプリケーションのAI拡張
RAGFlowOSSのRAGエンジンとの連携に対応ドキュメント解析とベクトル検索のパイプライン

LangChain、LlamaIndex、Spring AI Alibaba、CamelAI、LangGraphの5つについては、本番利用を見据えた検証が完了しています。CrewAIやRAGFlowなども公式のエコシステムに含まれており、すでに連携対象となっています。

たとえばLangChainでは、VectorStore、Retriever、Chainなどのインターフェースをそのまま使いながらRAGアプリケーションを構成できます。ベクトルの保存や検索に関する接続処理はOceanBase側で扱うため、通常は専用のコネクタを個別に実装する必要はありません。


Embedding生成と保存先を分けて考える

OceanBaseはEmbeddingを生成するモデルそのものではなく、生成されたベクトルを保存し、検索するデータ基盤です。そのため、Embedding生成に使うモデルや推論基盤は用途に応じて選べます。

モデル/推論基盤
OceanBaseとの組み合わせ方
OpenAIベクトルデータをOceanBaseに保存し、類似度検索に利用
Google GeminiマルチモーダルAIとOceanBaseを組み合わせたデータ基盤構成
Hugging FaceオープンモデルのエコシステムとTransformersベースの推論パイプラインに対応
DeepSeekオープンモデルによる推論とOceanBaseのベクトルストレージを組み合わせた構成。PowerRAGでもネイティブにサポート
OllamaローカルのオープンモデルとローカルOceanBaseを組み合わせたベクトル検索構成
vLLM高性能な推論基盤とOceanBaseのベクトル検索を組み合わせた構成
Qwen(Tongyi Qianwen)Alibaba CloudのLLMと組み合わせたエンドツーエンドのRAG構成
GLM(Zhipu AI)中国系LLMとOceanBaseを組み合わせたデータ基盤構成
Jina AIマルチモーダル検索やエンタープライズ向けRAGコンポーネントとの連携

OpenAI、Qwen、Jina AIの3つについては、実運用を見据えた検証が完了しています。DeepSeek、GLM、Gemini、Hugging Face、Ollama、vLLMなどについても、すでに接続済みです。

プロトタイプではOpenAIを使い、運用段階でDeepSeekやOllamaに切り替えることもできます。Jina AIを組み合わせて、マルチモーダル検索へ広げることも可能です。その場合でもOceanBase側のベクトルインターフェースは変わらないため、データ層の変更は最小限に抑えられます。


ローコード/ノーコード基盤からも使える

AIアプリケーションが常にPython中心で構築されるとは限りません。業務部門がDifyやFastGPTのようなローコード基盤でQAボットを作るケースも増えています。OceanBaseは、こうしたプラットフォームからもRAG向けのバックエンドとして利用できます。

プラットフォーム
利用イメージ
DB-GPTオープンソースのAIデータベースアシスタント。OceanBaseをナレッジベース向けのベクトルバックエンドとして利用可能
FastGPTオープンソースのナレッジベースQAプラットフォーム。OceanBaseをベクトルバックエンドとして利用可能
Coze StudioByteDance系のAIアプリ構築基盤。OceanBaseをベクトルバックエンドおよび構造化データソースとして利用可能
AnythingLLMオープンソースのLLMデスクトップアプリケーション。OceanBaseのベクトル検索と連携可能
Difyローコード型のAIアプリ開発基盤。OceanBaseをRAG向けのベクトルバックエンドとして利用可能
RAGFlowエンタープライズ向けRAGエンジン。OceanBaseをベクトルバックエンドとして利用可能
MaxKBナレッジベースQAプラットフォーム。OceanBaseをベクトルバックエンドとして利用可能
PowerRAGAgentの開発からデプロイまでを扱うOceanBase提供の基盤

DB-GPT、FastGPT、Coze Studio、AnythingLLM、Dify、PowerRAGの6つについては、検証が完了しています。RAGFlowやMaxKBなども、公式のエコシステム全体図に含まれています。

業務部門では、DB-GPTを自然言語によるデータ問い合わせに使ったり、FastGPTやDifyでQAボットを構築したりできます。そのバックエンドにOceanBaseを接続すれば、RAG検索に使うデータも同じ基盤で管理できます。物流、通信、越境ECなどの分野では、OceanBaseとDify、MCPなどの周辺ツールを組み合わせた活用が進んでいます。


MCPで開発環境からデータベースにアクセスする

AI開発では、IDEからデータベースを直接扱いたい場面もあります。MCP(Model Context Protocol)を使うと、CursorやClineなどの開発環境からOceanBaseへアクセスし、自然言語の指示をSQL実行やスキーマ探索につなげられます。

IDE/ツール
利用イメージ
ClineオープンソースのMCPネイティブなコーディングアシスタント。対話ベースでバックエンドを構築可能
ContinueVS Code/IntelliJ向けプラグイン。AI支援コーディングとデータベース連携を組み合わせて利用可能
TraeMCP対応IDE。バックエンドのプロトタイプをすばやく作成可能
WindsurfAIネイティブIDE。MCP経由でOceanBaseへ直接接続可能
Google GenAI ToolboxノーコードでMCP Serverを構成でき、コードを書かずにOceanBaseへのアクセスを設定可能

Cursor、Cline、Continue、Trae、Google GenAI Toolboxの5つについては検証が完了しており、Windsurfについても接続はすでに完了しています。

IDE以外でも、OceanBaseのMCP機能はAlibaba CloudのModelScopeコミュニティやanserPACKなどのプラットフォームに取り込まれています。開発者はModelScopeの創空間やClaude DesktopなどのMCPクライアントから、自然言語でデータベースクエリ、クラスタ運用診断、データ分析を行えます。

MCP Serverが共通の入口になる

MCPは、AIツールとデータベースの間に共通の接続ルールを用意する仕組みです。MCP Serverを一度設定しておけば、Cursor、Cline、Continueなどの対応ツールから同じデータアクセス機能を使えます。IDEごとに別々のコネクタを作る必要もありません。

同じOceanBaseインスタンスを、役割の異なる開発者が同時に使うことも可能です。たとえば、データサイエンティストはCursorでデータを探索し、バックエンドエンジニアはClaude Codeでサービスを書き、QAはClineでAPIを検証する、といった使い方です。全員が同じMCP設定を共有しながら、自然言語からSQLへつなぐ一貫した操作感を得られます。


OceanBase MCP Serverで扱えること

awesome-oceanbase-mcp リポジトリでは、OceanBaseエコシステム向けのMCP Server群が提供されています。SQL操作、クラスタ運用、診断、ベクトル検索まで、用途に応じたServerを選べます。

MCP Server
主な機能
OceanBase MCP Server構造化クエリ実行、スキーマ探索、データCRUD
OceanBaseDIAG MCP Server自動診断、スロークエリ分析、性能調査
OceanBaseshell MCP Serverクラスタ作成、デプロイ、運用管理
OCP/OceanBaseCloud MCP Serverクラウドおよびプラットフォーム側のクラスタ管理、監視
OKCTL MCP ServerKubernetes環境のリソース管理とデプロイ
seekdb MCP Serverベクトル操作、コレクション管理、AI関数

中核となるMCP Serverは、主に次の操作を扱います。

  • 構造化クエリ実行: 自然言語の指示をパラメータ化SQLに変換し、OceanBaseインスタンス上で実行します。結果はAIツールが扱いやすい形で返されます。CRUDに加えて、スキーマ探索やデータ確認にも使えます。
  • リアルタイム監視: AIツール側からデータベースの状態、性能指標、ヘルス状況を参照できます。アラートや自動診断の土台として使える機能です。
  • インテリジェント診断: OceanBaseの診断ツールチェーンと組み合わせることで、MCP Serverはデータベース障害の切り分け、スロークエリ分析、最適化案の提示まで、自然言語ベースで支援します。

Cursorから5分でAPIを作る流れ

ここでは、検証済みのCursor+OceanBase MCP統合を前提に、実際の開発作業に近い流れを見てみます。

1. MCP Serverを設定する(30秒)

{
  "mcpServers": {
    "oceanbase": {
      "command": "uv",
      "args": ["--directory", "/path/to/awesome-oceanbase-mcp", "run", "oceanbase_mcp_server"],
      "env": {
        "OceanBase_HOST": "ホスト名",
        "OceanBase_PORT": "2881",
        "OceanBase_USER": "ユーザー名",
        "OceanBase_PASSWORD": "パスワード",
        "OceanBase_DATABASE": "test"
      }
    }
  }
}

2. 自然言語でテーブルを作る

「主キーをIDにしたcustomerテーブルを作ってください。カラムはname、age、telephone、locationを含めます。」

CursorはMCPツール execute_sql を呼び出してDDLを実行し、「クエリの実行に成功しました。customerテーブルを作成しました」と返します。

3. テストデータを投入する

「顧客のテストデータを10件入れてください。」

AIが10件分のINSERT文を自動生成して実行します。

4. RESTful APIを生成する

「FastAPIプロジェクトを作成し、customerテーブルをもとにRESTful CRUD APIを生成してください。」

Cursorは main.py を自動生成し、FastAPIのコード一式を含めます。SQLAlchemyモデル、CRUD APIエンドポイント、依存関係の設定までそろっており、すべて手元のOceanBaseインスタンスにつながっています。uvicorn main:app --reload を実行すれば、その場で動くAPIが立ち上がります。

この一連の流れは、すべてエディタの中で完結します。途中で別のツールに切り替える必要はありません。
MCP統合によって、データベースを開発環境から直接扱えるようになります。AIツールに自然言語で指示すれば、クエリ実行やテーブル作成、ベクトル書き込みといった操作をそのまま進められます。裏側ではOceanBaseが標準SQLを処理します。


既存のベクトルDBから段階的に移行する

すでにMilvus、Qdrant、PgVector、ElasticSearchを使っている場合でも、ゼロから作り直す必要はありません。OceanBaseはベクトルデータの移行手段を一通り用意しています。ベクトルコレクション、メタデータ、インデックス設定をOceanBaseに移したうえで、RAG、検索、レコメンドのアプリケーションを継続できます。

Huolalaなどでは、既存のMilvusなどのベクトルDBを段階的にOceanBaseへ移行する計画も進んでいます。既存アプリケーションのロジックを保ちながら、検索データと業務データを同じ基盤に寄せていく進め方です。


OceanBaseをAI基盤として使うときのポイント

ここまで見てきた内容を、AI向けデータ基盤という観点で整理すると、ポイントは大きく4つあります。

  • 検索機能をデータベース内で扱える: HNSW/IVFベクトルインデックス、ハイブリッド検索、VSAGベクトル計算ライブラリにより、セマンティック検索、キーワード検索、スカラー条件での絞り込みを1つのデータベース内で完結します。RAGやレコメンドアプリケーションを組む際にも、専用のベクトルDBや検索エンジンを別途つなぎ合わせる必要がありません。
  • 対応ツールが多く、始め方を追いやすい: 60以上のツールと接続されています。LangChain/LlamaIndexのようなフレームワークから、OpenAI/Ollamaのようなモデル、Dify/FastGPTのようなローコード基盤、Cursor/ClineのようなMCP開発環境まで、各レイヤーにドキュメントと検証事例があります。
  • モデルやツールを切り替えやすい: ベクトル保存とEmbedding生成を切り分け、MCP Serverで統一的なデータアクセス手段を提供しているため、フレームワーク、モデル、IDEを入れ替えてもOceanBase側のインターフェースは安定しています。
  • 既存構成から移行しやすい: Milvus、Qdrant、PgVector、ElasticSearchなどの専用ベクトルDBから移行でき、統一基盤の上でRAGや検索アプリケーションを継続できます。詳細は前述の「既存のベクトルDBから段階的に移行する」を参照してください。

まとめ

AIアプリケーションの開発では、フレームワーク、モデル、IDE、ワークフロープラットフォームが増えるほど、データ層の設計が複雑になります。OceanBaseは、ベクトル検索、全文検索、トランザクション処理を同じデータベースで扱うことで、この分散を抑えるための選択肢になります。

LangChainやLlamaIndexからRAGアプリケーションを組む場合も、DifyやFastGPTのようなローコード基盤を使う場合も、CursorやClineからMCP経由でデータベースを扱う場合も、同じOceanBaseインスタンスをデータ基盤として使えます。

すでにMilvusやElasticSearchなどを使っているチームでも、段階的に移行しながら、既存アプリケーションのロジックを保ちつつ基盤を一本化していけます。AI向けのデータアーキテクチャを見直すうえで、OceanBaseはストレージ、検索、ツールチェーン連携をまとめて考えられる候補の1つです。

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