業務システムのデータベースのアップグレード、安全かつ安定した稼働を実現

  • 国際標準の災害復旧能力の最高レベルであるレベル

    6

  • ハードウェアコストを

    80%削減

  • ストレージ容量を

    80%以上削減

中国移動通信集団江蘇有限公司(略称「江蘇移動」)は、中国移動有限公司(China Mobile)が江蘇省に設立した完全子会社です。2021年の時点で、江蘇移動の携帯電話利用者数は既に6000万人を超え、そのうち5G利用者数は約2500万人、ブロードバンド利用者数は2000万人、インターネットテレビ利用者数は約1500万人に達していました。事業規模は中国移動グループの中でもトップクラスとなっています。2022年における中国移動の各省子会社31社のランキングにおいて、第2位に位置しています。

背景

モバイルインターネットの急速な発展と5G時代の到来により、様々な業界のデータ量は爆発的な増加を見せています。ビッグデータ時代において、デジタルトランスフォーメーションとアップグレードは企業間の競争における重要なポイントとなっており、通信事業者も例外ではありません。

近年、中国移動通信集団江蘇有限公司(以下「江蘇移動」)のインターネットビジネスは急速に成長しており、従来のデータベースでは膨大なデータの処理要求に対応しきれなくなっています。基幹業務システムや会計システムは、10年以上の発展を経て規模が拡大し、その処理するデータ量も増加しています。ビジネスロジックが複雑化し、基盤となるデータベースへの要求が厳しくなっているにもかかわらず、システムは長年にわたって従来の集中型データベースと高性能ハードウェア環境で運用されてきました。江蘇移動は、データセキュリティ、ビジネスの発展、コスト削減と効率向上などの要求に基づき、最終的にOceanBaseをコアパートナーとして選定し、共にデータベース分散化プロジェクトを推進することになりました。

お客様の課題

  • 従来のアクセス制御技術の問題点
    • インターネットビジネスが急速に発展し、ITシステムのデータベース構造が日々複雑化し、規模が拡大し、ユーザー数が増加する中で、従来のアクセス制御技術の問題により、データアクセス権限の割り当てと管理はますます困難になっています。
  • データストレージ暗号化要件の厳格化
    • データストレージメディアが増加し、ハッカーや悪意のある攻撃者がストレージメディアからデータを復元する事例が増え続けているため、データストレージの暗号化の要件が特に重要になっています。
  • データセキュリティ確保の難しさ
    • システムの構築が指数関数的に拡大する中で、データの保存は多様化・シナリオ化・分散化が進んでいます。一方で、データセキュリティを確保するための集中型アーキテクチャでは、一般的にマスター/スタンバイ方式が採用されていますが、「自動フォールトトレランス」と「データ損失ゼロ」の両立は難しく、大規模災害が発生した場合にデータの安全性を確保することが困難です。

ソリューション

  • 「2リージョン3センター」アーキテクチャのデプロイ
    • 江蘇移動はOceanBaseネイティブ分散データベースを採用し、「2リージョン3センター」アーキテクチャを構築しています。
    • (1)無錫市内における2つのデータセンターを主要センターとし、南京のシングルデータセンターをバックアップセンターとしています。プライマリクラスターの3レプリカはすべて読み書きが可能であり、Paxosプロトコルを通じて強力なデータの同期を維持します。
    • (2)セカンダリクラスターのデータはプライマリクラスターからログの同期レプリケーションによって複製されます。同期メカニズムは最大保護/最大パフォーマンス/最大可用性モードから選択できます。セカンダリクラスターのデータレプリカ数は、1レプリカまたは3レプリカから選択可能です。
    • (3)業務テナントの計画に従い、Primary-Zoneは無錫にデプロイし、一部の読み取り専用業務には南京のセカンダリデータベースを使用します。ドライバーはドメイン名を介してOBProxyにアクセスします。アクセスポリシーはランダム、ローテーション、加重方式から選択できます。データのバックアップを無錫のメインデータセンターに設置し、復元効率を向上させます。
  • 安全で柔軟なDBaaSモデル
    • 江蘇移動の全体的なアーキテクチャ設計では、複数のプロダクションクラスタが構成されており、各クラスタ上で異なる業務システムに対応するOceanBaseのテナントが割り当てられています。テナント間ではリソースの分離が実現されており、各テナントのインスタンスは他のインスタンスの存在を認識することなく動作します。また、権限管理によりテナント間のデータの安全性も確保されています。さらに、OceanBaseデータベースの強力なオンラインスケーリング機能と組み合わせることで、安全かつ柔軟な DBaaS(Database as a Service)モデルの提供が可能となっています。

効果

  • 分散アーキテクチャに基づくデータベースの高可用性を実現
    • OceanBaseデータベースは、シェアードナッシング(Shared-Nothing)をベースとするマルチレプリカアーキテクチャを採用しています。システム全体で単一障害点の存在を排除することで、システムの継続性と可用性を保証します。現在、江蘇移動の基幹システムのデータベースは、中国の無錫と南京の2拠点にまたがって、3つのデータセンターに3つのレプリカを配置されており、都市レベルの障害RPO=0、RTO<30秒を実現しています。これは、国際標準最高のレベル6の災害復旧能力に相当します。
  • ハードウェアのコストを80%削減
    • 従来、基幹システムのデータベースは、ハイエンドHPミニコンピュータ+HPハイエンドストレージアーキテクチャで運用されており、初期導入費用は400万人民元以上、年間のハードウェア運用保守費用は30万元以上でした。リプレイス後は、業務および基幹会計データベースに複数台の2ウェイx86アーキテクチャを採用し、水平方向へのスケーラビリティによって業務の性能要件を満たす構成となりました。これにより、ハードウェア投資は従来の20%程度にまで抑えられています。
  • ストレージコストが大幅に削減され、直接的な経済効果は数千万元に及ぶ
    • OceanBaseはLSM-TREEストレージエンジンと最適化されたエンコーディング形式を採用しており、パフォーマンスに影響を与えることなくデータストレージ容量を効果的に削減できます。例えば、CRMDB1データベースはソース側の集中型商用データベースでは10TBのストレージ容量を占有していましたが、OceanBaseに移行後は1.5TBの容量しか使用せず、ストレージ容量を80%以上節約できました。江蘇移動のデータベースの使用ストレージ容量が1PBと想定した場合、OceanBaseへの移行により、少なくとも800TBのストレージ容量を節約でき、直接的な経済効果は数千万元に達します。

 

 

 

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